ポジャギにはどんな種類があって、どのような時に使われるのか
といった質問を受けることがあります。
ポジャギストとしては、個人的にも興味があるところです。
色んな分類の方法が有るかと思いますが、自分なりに整理してみました。
●歴史的に見ますと、使用された階層によっても
宮褓(クンポ)と民褓(ミンポ)に分けることが出来ます。
・宮褓は宮中で使用されたもので、専門の職人たちによって作られました。
素材は絹布が中心で、手の込んだ刺繍や金箔を施したものや
唐彩で画かれた唐彩褓(タンチェポ)など、豪華なものでした。
物を包んだり、覆ったりといった一般的な使われ方だけでなく、
宮中での祭事や儀式などに多く用いられました。
現存する最も古い宮褓は、顕宗(ヒョンジョン・1659〜1674年在位)の令嬢、
明安公主(ミョンアンコンジュ)の婚礼に使われた、
「鴉青雲紋緞宮褓(アチョンウンムンダンクンポ)」といわれています。
朝鮮王朝時代の宮廷装飾に関する記録を記した
「尚方定例(サンバンジョンネ)」(注1)には、
王族が祭祀や儀式、日常において用いた衣装や使用品目の一覧が記載されています。
そこには、個々の品々を収納、保存するための235枚にも及ぶ
ポジャギの素材や大きさ、色彩について細かく言及されています。
いかに宮中で、ポジャギが重要視されてきたかが分かります。
・民褓は平民の間で使われたポジャギのことです。
素材、デザイン、技法などの点で多様であり、
主に家庭の女性たちによって作られました。
あるものは村の地図だったり、また一族の家系図だったりと
デザインの発想はどこまでも暮らしに寄り添ったものでした。
また、無作為に並べられた不揃いの布片が織り成す、洗練された造形美。
習わずとも、日々の繰り返しから自然に美意識が磨かれていったのでしょう。
素材は、大事に取っておいた絹や麻布の端布が主でした。
限られた自由の中で作られた多くのポジャギは、とってもおおらかで
家族への愛に満ちたものでした。
→?につづく
注1 朝鮮王朝21代王、英祖の命により1752年、
尚衣院(王室の衣服や日用品を調達する部署)で編修された宮廷衣服関係の本
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