韓国ではポジャギと言うより、チョガッポと言った方が通じ易いようです。
チョガッとはpiece。ポは褓。
つまり、布の端切れを繋ぎ合わせて作ったポジャギのことです。韓国版パッチワークですね。
封建時代の長かった韓国では、身分制度が細かく定められていて、
絹布の継ぎ目のない一枚仕立てのものや刺繍を施した豪華なポジャギは
宮殿の中や両班(ヤンバン=貴族)などの富裕層でしか使うことが許されませんでした。
庶民の間で、絹布はとっても貴重なものだったのです。
そこで、韓服や布団を作る時に出る絹の端布を一枚一枚大切に取って置き、
それを繋ぎ合わせ、チョガッポが作られたのです。
また、比較的手に入れやすかったのは生成りの麻布。
まずは韓服に仕立てて、毎日の汚れは砧で打って白くしました。
それも落ちなくなったら、草木染を施しポジャギに仕立て直し、最後まで大事に使いました。
穴の開いた部分に接ぎあてをしたアンティークポジャギには、
先人たちの、物を大切にし、どんな小さな布も無駄にしないという精神が宿っています。
日本でも昔は、古い着物に当て布をしたり、仕立て直して子供に着せたりしました。
最後は雑巾にして再び使います。
使い捨ての時代に生きる私たちが、改めて見習うべき慣習の一つですね。
そして、現在のポジャギストに最もポピュラーで人気が高いのも、このチョガッポです。
無作為に繋げた余り布の集合体。
面と面、そして線と線の構成が織り成す美と調和、彩りに満ちた一枚のポジャギ。
それは、オランダを代表する抽象画家モンドリアンの名画に酷似すると評判を呼んでいます。
李朝の名も無き女性たちに思いを馳せ、その素朴で力強さに惹かれながら、
チョガッチョガッのチャトゥリ(端切れ)を繋ぎ合わせるのです。
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